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アムレッティデザイン
金細工職人、そしてジュエリーデザイナーでもあるリナ・シモンズによりデザインされたカレワラのアムレッティ・コレクションは、古代のジュエリーにみられた不思議なシンボルの新たな解釈といえます。リナ・シモンズのデザインにおける信念、そしてアムレッティ・コレクションがどのように生み出されたか、リナ本人が語ります。
パンデミックの真っ只中の2020年11月、アムレッティ・シリーズのデザイン案を依頼されました。人々は守る力、強さ、勇気、愛を象徴し、引き寄せ呼び起こすようなジュエリーを必要としていて、このような力強い作品がまさに求められていた時でした。 アムレッティは古代のジュエリーのシンボルに基づいていていたり、古いカレワラジュエリー作品の要素が含まれる、小さくモダンなジュエリーとなる予定でした。
最初の3つのアムレッティのテーマは、ハンヌンヴァ―クナ、オスマンソルム(セーラーノット)、テルヤンネイトでした。 シルバーとブロンズ製のアムレッティネックレスは、2021 年の秋に発売されました。4つめのアムレッティである高貴なアウリンコレイヨナ(太陽の獅子)は、カレワラの 60 周年を記念した同名のジュエリーシリーズをベースにしています。 アウリンコレイヨナ・アムレッティは、オリジナルのアウリンコレイヨナが日の目を見てからちょうど 25 年後、2022 年のカレワラの日にあわせて発売されました。
アムレッティのスケッチ
5つめのアムレッティはクマをモチーフにしたものでした。これに関してはわたし自身で「プロトタイプ」を選ぶことができたので、カレワラの過去のコレクションから4つの異なるクマのモチーフを見つけ、最もわたしを突き動かしたひとつを選びました。
このアムレッティは「ポホヤンカルフ(北のクマ)」と名付けられました。ポホヤンカルフ・アムレッティのデザインは特に興味深いもので、フィンランドの神話によれば、クマは空の大熊座の肩から降りてきたとあり、わたしはこのことに強いインスピレーションを受けました。 クマを囲む線の模様は針葉樹林を象徴していますが、同時に星型も表現しています。このデザインで、森の中、星に囲まれたクマたちの住むところの物語を伝えたいと考えました。よく見ると、星がクマの頭の上で王冠を形作っていることにも気づくでしょう。 フィンランドではクマは森の王と呼ばれていたのです。
アムレッティのデザインは素晴らしく創造的な仕事で、わたしがジュエリーに不可欠だと思うシンボリズムと物語に満ちています。 アムレッティのすべての要素とディティールを新しいミニチャームに適合させることは最大の課題でした。 形やパターンは魅力を失わずに簡素化する必要がありましたが、わずか12ミリメートルのミニチャームにも、驚くほどたくさんのものを取り込むことができます。 たとえば、アウリンコレイヨナとそれを縁取る光線については悩みましたが、最終的にはきれいに収めることができました。ちなみに、サンライオンは私の個人的なお気に入りで、 強いパワーが伝わってきます。
アムレッティシリーズのベースアイテムであるフープイヤリングとブレスレットをデザインするときは、技術的な点についても頭を悩ませました。 チャームを簡単に追加したり、取り外したり、色々組み合わせて自分だけのアムレッティをカスタマイズできる仕組みを考え出す必要があったのですが、とても面白いコンセプトでした。
オスマンソルム(セーラーノット)は、もともとのシンボル自体がかなりエッジが効いていて男性的であるのに対し、アムレッティは柔らかく女性らしいものでなければならないため、デザインするのが最も困難でした。 輪郭を柔らかくし、装飾フレームを追加し、満足のいく結果になりました。
オスマンソルムが2023年のピンクリボン・ジュエリーに採用され嬉しく思いました。ピンクリボン・ジュエリーは、がん患者への支援やがん研究におけるがん財団の重要な活動のサポートを行うために身につけることもできます。 カレワラは、ピンクリボンのネックレスとピアスにつき 10ユーロ、ミニチャームひとつにつき5 ユーロを寄付します。ピンクのジルコニアが付いたオスマンソルムは、9番目のカレワラのピンクリボン・ジュエリーとなりました。
アミュレッティシリーズの全てのジュエリーにピンクリボンジュエリーのリングを追加することも可能です。同様に、他のアミュレッティ チャームをピンクのリボン ジュエリーと組み合わせることができます。 Amuletti のジュエリーはそれぞれ、着用者と同じように見えます。 Amuletti プロジェクト全体は興味深いものでした。
わたしはジュエリーをデザインするのが大好きです。 わたしのデザイン言語は通常グラフィックであり、アムレッティのグラフィックの対称的なパターンにそれがうまく表現されていると思います。 作品を美しくすることに加えて、わたし自身の独特のデザイン言語で、それを着用したいという欲求を人々にもたらすような興味深いものにすることも目指しています。 人々がわたしのデザインしたジュエリーを身に着けているのを見るといつもわくわくします。
これからもたくさんのアムレッティをデザインしていけたらと願っています。今6つめのアムレッティを製作中ですが、残念ながらまだテーマは明かすことができません。きっともうすぐわかりますよ!
Photo Nico Backström
Written by: Ville Jokela